「この場所で披露宴や会食を行いたいのですが、厨房がありません」

企業の会食やレセプション、式典などのご相談をいただくなかで、ときどき伺う言葉です。

火が使えない。
十分な水も使えない。
料理を仕上げるための常設厨房もない。

そのような条件を聞けば、

「温かい料理は難しいのではないか」

「設備の整った会場と同じ品質では提供できないのではないか」

「料理の内容を妥協する必要があるのではないか」

そう考えるのは自然なことだと思います。

レストランでは、厨房があることを前提に料理を作ります。

火、水、冷蔵設備があり、その場で料理を仕上げられる環境があります。

しかし、会場外で料理を提供するとき、私が確認するのは厨房の有無だけではありません。

料理をどこで作るのか。

どの状態まで仕上げて会場へ運ぶのか。

温度をどのように保ち、いつ最後の仕上げを行うのか。

そして、どのタイミングでお客様の前へ届けるのか。

料理がテーブルへ届くまでの流れを組み立てることができれば、設備の限られた会場でも、フルコースを提供することはできます。

料理の技術だけでは、会食全体は成立しない。

厨房のない会場で本格的なフランス料理を提供することは、レストランで作った料理を、そのまま運ぶこととは異なります。

会場が変われば、使える設備、ゲスト数、進行、提供時間も変わります。

必要なのは、料理の本質を守りながら、その会場で成立する方法へ組み直すことです。

料理の品質だけでなく、会全体の進行を妨げず、安全に、適切なタイミングで提供できることまで考えなければなりません。

異なる経験が、現在の仕事につながっている。

私はフランスで4年間、現地のレストランで経験を積みました。

食材を見極めること。

火入れを判断すること。

フォンやソースを組み立てること。

最も良い状態で一皿を仕上げること。

帰国後もフランス料理一筋に仕事を続け、料理人としての技術を積み重ねてきました。

一方で、レストランだけでなく、出張料理、ケータリング、企業の会食など、条件の異なるさまざまな場所で料理を提供してきました。

サービスに携わった経験もあり、料理が厨房を出てから、お客様の前へ届くまでを含めて考えています。

フランス料理人として培ってきた技術。

異なる環境で料理を成立させてきた経験。

料理がお客様へ届くまでを考える視点。

これらが独自にハイブリッドされていることが、現在の私の仕事につながっています。

一人ではなく、チームで成立させる。

設備の限られた場所で、多くのお客様へ料理を届ける仕事は、私一人で成り立つものではありません。

高い技術と対応力を持ち、特殊な環境でも私の料理を支えてくれる料理人へ、私自身がお声がけし、チームを組んでいます。

さらに当日は、料理人同士の連絡調整に加え、会場ご担当者様、サービススタッフ、司会者など、関係する方々と連携する全体管理マネージャーも現地に入ります。

料理を担当する者と、現場全体をつなぐ者。

それぞれの役割を明確にすることで、料理と進行を一つの流れとして動かします。

方法を変えても、守るものは変えない。

設備が違えば、調理や提供の方法も変わります。

しかし、方法を変えることと、料理の品質を下げることは同じではありません。

その会場で最も良い状態をつくるために、料理の内容や工程を組み替える。

そのうえで、フランス料理としての美味しさ、温度、香り、余韻を守ります。

設備の限られた場所で料理を提供するうえで、安全への配慮も欠かせません。

会場の設備や動線を確認し、品質と安全の両方を守れる方法があるかを見極めたうえで、ご提案します。

何でもできると申し上げたいわけではありません。

できることと、できないこと。

変えられることと、変えてはいけないこと。

それを正確に判断することも、料理人の仕事だと考えています。

その会場、その日のために料理をつくる。

Hiromi Koshimizu Gastronomieの料理は、レストランで作ったものを、そのまま外へ運んだ料理ではありません。

会場の設備。

会の進行。

ゲストの人数。

料理を提供する時間。

それらを踏まえ、その日のために料理を組み立てます。

厨房がないことは、料理を諦める理由ではありません。

その会場に適した提供方法を考えるための、一つの条件です。

会場設備や料理の提供方法でお悩みでしたら、まずはご相談ください。

設備、動線、進行を確認しながら、品質と安全を守ったうえで実現できる方法をご提案いたします。